【政治・外交ニュース】
1. スホーフ首相、自身の政権運営を「10点満点中6〜7点」と評価
ディック・スホーフ首相は週末の国内メディア(AD紙など)のインタビューに応じ、極右・自由党(PVV)、自由民主国民党(VVD)、新社会契約(NSC)、農民市民運動(BBB)という、意見の対立が絶えない4党による連立政権下での無所属の首相としての約1年半の歩みを振り返りました。スホーフ首相は自身の政権運営について「10点満点中で6から7点の間」と自己評価を下し、「想像していたよりもはるかに強烈な役割だった」と率直な感想を述べています。
政権発足当初、PVVのヘルト・ウィルダース党首から予期せぬ首相就任の打診を受けた際、「行き過ぎた冗談だと思った」と回顧するスホーフ首相ですが、厳格な難民法の土台作りなど一定の成果を強調しています。しかし、これらの法案は下院を通過したものの、現在も上院での審議が難航しており、実施機関からの批判も根強いのが実情です。また、PVVのマルヨレイン・ファーベル難民担当相が難民支援ボランティアへの表彰状への署名を拒否した、いわゆる「リボン事件」などの内紛も絶えず、首相自身の私生活や友人関係にも緊張をもたらしたことが報じられています。
2. インドのモディ首相がオランダを訪問へ、AI分野での「戦略的パートナーシップ」構築
外交面では、インドのナレンドラ・モディ首相のオランダ訪問が最終調整に入っていることが大きな話題となっています。先日インドで開催された人工知能(AI)サミットに出席したスホーフ首相は、両国間の関係強化においてこの訪問が「素晴らしい推進力になる」と高く評価しました。
オランダとヨーロッパ全体がAI分野でインドと集中的に協力することを目指しており、南米諸国とのメルコスール協定(農業や食肉問題で難航中)よりも「はるかにスムーズに合意に至る」との見方を示しています。オランダにはASMLなどのハイテク企業が存在し、インドとの戦略的パートナーシップは今後のオランダ経済の国際競争力を左右する重要なステップとして期待されています。
【経済・産業ニュース】
1. ASML、2025年の売上が過去最高の327億ユーロに到達も、1700人の人員削減を発表
オランダ経済を牽引する半導体製造装置の世界最大手、ASML(本社:フェルトホーフェン)は、2025年通期の決算を発表し、売上高が前年比16%増の327億ユーロ(約5兆2000億円)、純利益が96億ユーロ(前年は28億ユーロ)と過去最高を記録したことを明らかにしました。クリストフ・フーケCEOは、AI需要の拡大を背景に本年もさらなる成長を見込んでいます。
しかしその一方で、組織の合理化と将来の成長に最適な体制を構築するため、最大1,700人の管理職を中心とした人員削減を行うという衝撃的な発表も行われました。この削減の大部分はオランダ国内の拠点が対象となると見られており、記録的な利益を上げている最中でのリストラ発表に、労働組合や地元経済界からは驚きと懸念の声が上がっています。
2. ASMLのアイントホーフェン拡張計画に対する地元住民の強い懸念
ASMLの成長は、地元アイントホーフェン地域の住民にとって複雑な問題を引き起こしています。同社は3月からアイントホーフェン空港近くに新たなキャンパスの建設を開始し、地域に新たに2万人の従業員を呼び込む計画を進めています。
しかし、地元メディア「オムロープ・ブラバント」の最新の世論調査によると、この拡張計画を支持する住民は昨年の半数近くから40%にまで低下しました。住民の最大の懸念は「住宅危機」の悪化です。回答者の3分の2が住宅の価格高騰を懸念し、60%が自分たちや子供たちが住む家を見つけられなくなることを恐れています。また、半数近くが医療機関の逼迫を、43%が交通渋滞の悪化を危惧しています。住民の8割は、ASMLに対して自社の成長だけでなく、地元コミュニティの住宅やインフラ整備に向けた積極的な資金援助と投資を強く求めており、大企業の急成長と地域社会の共存が大きな社会的課題となっています。
3. 米中摩擦の狭間に立つオランダ経済
ASMLをめぐっては、昨年末に出版された暴露本の内容も依然として波紋を広げています。2023年にASMLが米国との「紳士協定」を破って中国に多数の半導体製造装置を輸出したことで米国政府が激怒し、当時のマルク・ルッテ首相がASMLのCEOに強く警告したという内容です。米国政府の高官が「ASMLは中国におけるワシントンの目と耳になり得る(スパイ活動の提案)」と語ったとの記述もあり(ASML側は完全否定)、ハイテク産業が国家間の安全保障上の最大の切り札となっている現状が浮き彫りになっています。
【社会・国内課題ニュース】
1. ハーグでの難民センター開設に反対する激しい抗議デモ
難民問題はオランダ社会を分断する最も深刻なテーマの一つです。今週末、デン・ハーグのフォーヘルウェイク(Vogelwijk)地区で、旧病院を難民やホームレスの収容施設(最終的に約750人が居住予定)に改装する計画に対する激しい抗議デモが発生し、警察の機動隊が出動する騒ぎとなりました。
デモ参加者は「難民センターより高齢者用住宅を!」という横断幕を掲げ、この計画を「危険な社会的実験」と批判しました。退去命令に従わなかった若者を中心とする数十人のデモ隊に対し、警察は警棒を使用し、強制排除を行いました。地元住民らは、過去にアムステルダムで行われた同様の混住プロジェクトで治安が悪化した事例を引き合いに出して強い不安を訴えていますが、デン・ハーグ市当局は「今回は管理体制も居住区画も完全に別であり、状況は全く異なる」と火消しに追われています。
2. 難民収容施設の構造的な資金不足とCOAの警告
オランダ中央難民受け入れ機関(COA)は、現在の難民受け入れ体制が「構造的な資金不足のせいで不必要に高価で非効率になっている」と強く警告しています。COAの最新の報告書によると、長期的な資金の裏付けがないため、自治体と安定した施設建設の契約を結ぶことができず、結果として非常に高額な「緊急避難所(ホテルや仮設施設)」に頼らざるを得ない状況が続いています。
また、大規模な難民家族の多くが住宅を見つけるまでに数年を要しており、収容施設の定員の約4分の1が、すでに居住許可(ステータス)を得ているにもかかわらず移住先の家がない人々によって占められています。政府は一部のステータス保持者を一時的にホテルに収容する措置をとっていますが、慢性的な住宅不足が難民問題のボトルネックとなっていることは明らかです。
3. 最高裁の判決:難民申請の遅延補償金は「家賃に充当すべき」
これに関連し、オランダ最高行政裁判所(国務院)は非常に注目される判決を下しました。移民帰化局(IND)の審査遅延によって難民申請者が受け取った国からの補償金について、「一定の資産基準を超える場合は、COAが提供する住居費として徴収してよい」という判断です。
数名の難民が「これは長期間待たされたことに対する精神的・時間的損害への賠償だ」として支払いを拒否して提訴していましたが、裁判所は「この補償金は担当大臣に審査を急がせるための金銭的インセンティブであり、純粋な損害賠償ではない」としてCOA側の主張を認めました。EUの規則に則り、一定の財力がある難民には施設の維持費を負担させるという原則が再確認された形となり、今後の難民政策の運用に大きな影響を与えることになります。
【気象・環境情報】
本日(2月23日)の全国の天気
本日のオランダ国内の天候は「曇り時々小雨」となっています。 日中の最高気温は11℃、最低気温は8℃と、2月末としては比較的穏やかな気温ですが、体感気温は8℃前後と肌寒く感じられます。西からの風が強めで、風速は17 mph(約7.6 m/s)に達しています。湿度は高めで、一日を通して20〜25%の確率で小雨がぱらつくすっきりしない天気が続くでしょう。
明日以降も、しばらくは南西からの風と小雨や曇りの日が続く典型的なオランダの冬の気候が予報されています。来週にかけて気温が徐々に下がる見込みですので、外出の際は防風・防雨のジャケットが手放せない1週間となりそうです。
【スポーツ・文化ニュース】
エールディヴィジ(プロサッカー1部)週末の試合結果
オランダ国民の最大の関心事の一つであるサッカー・エールディヴィジ(2025-2026シーズン)では、今週末も熱戦が繰り広げられました。
注目されたフェイエノールト(Feyenoord)は本拠地デ・カイプでテルスター(Telstar)と対戦し、2-1で勝利を収めました。ホームの大歓声の中、着実に勝ち点3を積み上げています。 また、AZアルクマールは本拠地AFASスタディオンにスパルタ・ロッテルダムを迎え撃ち、持ち前の攻撃力を爆発させて3-1で快勝しました。 一方、FCユトレヒトはホームでPECズヴォレと激突しましたが、互いに譲らず1-1のドロー決着となっています。さらに、ゴー・アヘッド・イーグルスはヘラクレス・アルメロに対して4-0という圧倒的なゴールラッシュを見せつけ、スタジアムを熱狂の渦に巻き込みました。強豪アヤックスはホームでNECナイメヘンと1-1で引き分けるなど、上位陣の順位争いから目が離せない展開が続いています。
まとめ
2026年2月23日のオランダは、経済面ではASMLという世界的なハイテク巨人がもたらす莫大な恩恵と、それに伴う地域社会(住宅、インフラ)の摩擦という「成長のジレンマ」に直面しています。政治・社会面では、スホーフ連立政権が苦心する中、依然として出口の見えない難民受け入れ問題と住宅危機が市民生活に暗い影を落としており、デン・ハーグでの抗議デモに見られるように社会的分断の修復が急務となっています。