最新のイラン情勢

イランでは現在、建国以来最大とも言われる激動の渦中にあります。2025年末から続く大規模な反政府デモ、ハイパーインフレに迫る経済危機、そしてトランプ政権による軍事攻撃の懸念。

​今、イラン国内で何が起きているのか。2026年2月現在の最新状況を多角的にまとめました。

​1. 2026年イラン危機:経済破綻が火をつけた「第2波」の衝撃

​2025年12月28日、通貨リアルの暴落とガソリン・食品価格の急騰をきっかけに始まった抗議デモは、2026年に入り、もはや「経済不満」の枠を超えた体制存続の危機へと発展しています。

​過去最悪のインフレと生活苦

​2026年2月の統計によると、イランのインフレ率は**前年比約70%**という驚異的な数字を記録しました。

  • 食料品価格: 前年比で約110%上昇(パンや食用油は2倍〜3倍に)。
  • 通貨リアル: 過去最悪の安値を更新し続け、国民の貯蓄は紙屑同然となっています。

​政府が財政難から補助金をカットした「経済手術」が裏目に出て、中間層から低所得者層までが街頭に溢れ出しました。

​大学から再燃する抗議の火

​1月中旬に当局の激しい弾圧によって一時沈静化したかに見えたデモですが、2月21日、テローンのアル・ザハラ大学やシャリフ工科大学などの学生たちが立ち上がり、**「第2波」**が始まりました。2月23日時点で、全土20以上の大学で抗議活動が確認されています。

​2. 流血の惨事と人権状況:数千人の犠牲

​今回のデモに対する当局の対応は、2022年の「女性・生命・自由」運動時を遥かに上回る強硬なものです。

  • 犠牲者数: 人権団体(HRANA)などの報告によれば、死者は7,000人を超え、拘束者は2万人近くに達しているとされています。一部の報道では、治安部隊が実弾を使用した「虐殺」に近い状況があったとも伝えられています。
  • 政府の釈明: ペゼシュキアン大統領は2月11日、異例とも言える「弾圧に対する謝罪」を口にしましたが、最高指導者ハメネイ師は依然としてデモ隊を「米国とイスラエルに扇動されたテロリスト」と断じ、妥協の気配を見せていません。

​3. 外交・軍事の緊張:トランプ政権による「2段階攻撃」の現実味

​国内が混乱する中、対外的にはアメリカのトランプ政権による圧力がピークに達しています。

​核施設への先制攻撃か

​米メディア(ニューヨーク・タイムズ等)の報道によれば、トランプ政権はイランに対して**「2段階の軍事作戦」**を検討しているとされています。

  1. 第1段階: イランの核開発を阻止するための核施設への限定的攻撃。
  2. 第2段階: 現体制の転換(レジームチェンジ)を目的とした大規模攻撃。

​瀬戸際の中の「ジュネーブ協議」

​この絶望的な状況下でも、外交の糸は完全には切れていません。2月26日、スイス・ジュネーブで米イランの高官による核問題協議が行われ、対話の継続で一致しました。イラン側は「濃縮ウランの半分を国外へ搬出する」といった大幅な譲歩案を提示しているとの情報もあり、軍事衝突を回避できるかどうかの瀬戸際が続いています。

​4. 体制内部の亀裂:権力の空白と代行者

​興味深い動きとして、最高指導者ハメネイ師が今回の危機管理をアリ・ラリジャニ氏(国家安全保障最高評議会秘書)に委ねているという報道があります。

​ペゼシュキアン大統領の影響力が低下する一方で、保守穏健派のラリジャニ氏が実質的に国政を掌握し、米国との交渉や国内の鎮圧を指揮していると見られています。これは、将来の「ポスト・ハメネイ」を見据えた権力構造の変化を示唆しているのかもしれません。

​5. まとめ:イランの行方はどこへ

​現在のイランは、内側からは**「空腹と怒り」に突き動かされた国民の反乱、外側からは「世界最強の軍事圧力」**に挟まれた、まさに「不可逆点」に立たされています。

  • 経済: 通貨崩壊を止められなければ、さらなる暴動は避けられない。
  • 政治: 学生を中心とした若年層の離反は決定的。
  • 外交: 米国の攻撃が現実となれば、中東全域を巻き込む大戦に発展する恐れ。

​これほどまでに不安定なイランは、過去数十年にわたり例がありません。数週間、数日単位で情勢が激変する可能性があるため、引き続き注視が必要です。

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